DS-DCはFMチューナーT-1100のステレオ信号の復調に関するに技術です。これは「パイロット信号の直接合成処理」と「クロストークの二重打ち消し処理」の二つの技術で構成されています。これらを全てDSP(Digital Signal Processor)上のソフトウェア演算で行うことにより、理想的なステレオ復調が可能となり、驚異的なチャンネル・セパレーションを実現しました。
パイロット信号の直接合成(Pilot tone Direct Synthesis)
FM放送のステレオ信号は、パイロット・トーン方式と呼ばれる方式で、位相管理された右信号と左信号の和信号と、副搬送波38kHzを右信号と左信号の差信号で搬送波抑圧AM変調した変調波と、19kHzのパイロット信号とを多重した合成信号です。この復調にはパイロット信号と同期した38kHzの信号で、合成信号をスイッチングして右信号と左信号を取り出すことができます。
一般的なFMチューナーでは、パイロット信号を抽出するのにPLL回路を使用して、入力信号から周波数と位相成分を抜き出します。このため、抽出時にパイロット信号が小さくなると、雑音の影響を受けてセパレーションが大変に悪くなります。
アキュフェーズが新たに開発したDS-DCは、入力信号に含まれるパイロット信号の波形をそのまま同定*してDSPの演算によって直接作り出します。従って雑音に強く(雑音に埋もれた中からでも確実にパイロット信号を作り出すことができる)、パイロット信号のレベルが小さくてもセパレーションを確保することができます。
[ *同定:Identify(同一であることを見きわめること) ]
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DS-DC方式ステレオ復調回路
クロストークの二重打ち消し処理(Crosstalk Double Cancellation)
入力信号を左右(L/R)信号に分離した後、位相成分まで考慮してクロストークの打ち消しを二回行います。これにより、左右のセパレーションを極限まで高めることができます。
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ステレオ・セパレーション特性
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